錦華公園
Kinka Park
歴史と未来が輻輳する公園
2019-2024
基本設計・詳細設計・デザイン監理
基本設計:山田裕貴、山本良太(Tetor)+建設技術研究所
詳細設計:山田裕貴、山本良太(Tetor)+建設技術研究所
デザイン監理:山田裕貴、山本良太(Tetor)+建設技術研究所
植栽アドバイス:佐々木知幸
面積:2,759m2
錦華公園は、関東大震災後の帝都復興事業の1つとして行われた震災復興小公園である。その特徴は小学校とセットで公園を配置されている点で、錦華公園もお茶の水小学校(旧錦華小学校)が隣接している。小学校改築に伴って再整備が行われ、再整備のデザイン案を決めるにあたり、丁寧な調査と合意形成を行なっている。行動調査、コロナ禍での意見聴取として有効だったオープンハウス、途中コロナウイルス蔓延により中断を余儀なくされたが、地域住民を交えた意見交換会を合計7回行った。
デザインの要点としては、本郷台地の端部に位置する特徴ある地形や歴史の継承、自然池の復元、こどもの遊び場の充実、見通しや安全性の確保である。敷地北東の崖線部は自然地形として残し、樹木の健康状態を調査した上で、大径木を中心に残し、景観を継承している。震災復興小公園として開園時にあった池は復元を行っている。復元に際しては、震災復興小公園の資料より形状を丁寧になぞり、現地で職人との対話により形状を決めている。比較的日当たりの良い場所に遊具を配置してこどもの遊び場とし、インクルーシブ遊具を導入している。中央部の日中通して日が当たる場所は多世代ですごせるゴロゴロ広場を配置して、比較的日陰となる南側は多目的広場を配置することで、遊具エリアと多目的広場を緩やかに分節している。樹木は基本的に保存樹が中心となっているが、小学校のエントランスの中心から伸びる軸線状にソメイヨシノを1本、道路沿いにハナミズキを追加することで、周辺景観との調和も試みている。公園工事に合わせて命名された猿楽坂は、公園側の柵をセットバックさせることで、歩行空間の拡張も試みている。1年間にわたるデザイン監理を実施し、現場の職人との対話を重ねたことで、質の高い千代田区に相応しい神保町地域の核となる公園となっている。