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   私たちは景観デザインの実践だけでなく、デザイン手法の開発やデザインレビューを通して考察・研究することで、実践にもフィードバックします。実践では十分にアプローチしきれない問題や、社会的課題に対して研究を進めています。

インターフェースとしての景観デザイン

 景観デザインは、「社会や環境への影響が大きい構造物を、どう社会や人間が住まう環境の中に馴染ませるか」という役割を持っていると考えている。それは、スマホなど今まで社会になかったものを導入していく際のインターフェース(UX)デザインと役割の類似性がある。UXデザインについて述べられている「融けるデザイン」では、自己帰属感と相即性が重要であると述べられている。本研究では、それらをキーワードに実践や観察を通じて、明らかにしていくものである。

論文:「インターフェースとしての景観デザイン」

参考文献:渡邊恵太:融けるデザイン、ピー・エヌ・エヌ新社、2015

     深澤ら:メディア環境論、株式会社武蔵野美術大学出局、2002

デザインレビュー

 土木分野の景観デザインは1960年代に始まり、これまでに、その対象を道路から河川、橋梁、ダム、都市など幅を広げてきました。災害における景観デザイン、自治体における景観まちづくりの進展など社会的認知度も少しずつではありますが、深まってきています。また、コンペティションも近年では開催されており、デザインの質が問われる時代にあります。

 一方で、では質の良いデザインには何が必要か、どのような検討を行ったか、どのような体制だったか、デザインの質はそもそも何か、といった議論はまだ途上にあります。本研究では、実践してきた景観デザインについてレビューを行い、その質のあり方を明らかにしていくものです。歴史も概観し、多角的に研究を進めていきます。

参考文献:山口ら:公共デザイン、学芸出版社、2019

     小林一郎:風景のとらえ方・つくり方、

     共立出版株式会社、2008

     篠原修:景観用語辞典 増補改訂版、彰国社、2008

景観と共同体の変容の関係性

 本研究は大分県竹田市を対象にし、農村景観を農業土木施設 や空間(モノ)、農業・暮らし(コト)、多層的共同体(ヒト)の三者の関 係がつくりだすものであると考え、基礎的方法論を人文学・地理 学的立場に置きながら、共同体という人間の営みの単位に着目し て、景観が生成し変容するメカニズムの解明・記述を試みたものである。 私たちを取り巻く世界は、近代化されたもので覆い尽くされており、近代化の中で共同体は解体され、個人にまで細分化されてい くが、農村特に稲作を行っている様な所では、河川からの取水や 用水路管理などの、共同財や共同作業が発生するため、必ずしも 多層的共同体が解体されていない(セミラティス構造からツリー構造に移行していない)。多層的共同体は近代的変容を受容しながらも、解体ではなく、再組織化されたことを竹田の農村景観を通して実証的に論考した。

論文:「大分県竹田市における農村景観の近代的変容と多層的共同体

    の関係性」

参考文献:内山節:多層的共同体の基礎理論、農山漁村文化協会、2010

     多田富雄:免疫の意味論、青土社、1993

     アレクサンダー:都市はツリーではない、学燈社、1984

     テンニエス:ゲマインシャフトとゲゼルシャフト、

     岩波書店、1958

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